デュアルSIMとは
デュアルSIMとは簡単に言えば、2つのSIMを1台のスマホで使うことです。
SIMとは簡単に言えば、スマホの契約情報、つまり電話番号やデータ通信量などが記録されているものです。
一般的なスマホ契約は、1つのスマホに1つのSIMを入れることで、電話をしたり、ネット通信をしたりしています。SIMがスマホに入っていないと、電話やモバイルネットワークでの通信はできなくなります。
デュアルSIMでは、1つのスマホに2つのSIMが登録されているので、さまざまな機能を使うことができ、よりスマホの利便性が高まります。
デュアルSIMのメリット
デュアルSIMを使うメリットは以下の通りです。
- 1つの端末で2つの電話番号を持てる
- 通信障害時の保険になる
- 組み合わせ次第で料金が節約できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット①『1つの端末で2つの電話番号を持てる』
最も大きなメリットが、1つの端末で2つの電話番号を持てるという点です。
仕事用とプライベート用の電話番号を、どちらも1つのスマホで対応できます。わざわざ2台のスマホを持ち歩く必要がなくなるので、非常に便利です。
また、個人事業主の人は、仕事用とプライベート用で使い分けることで、スマホの通信費を家事按分する必要がなくなり、確定申告がしやすくなります。
メリット②『通信障害時の保険になる』
通信障害時の保険になるのもメリットの一つです。
例えば、auのみで契約をしていた場合に、auで通信障害が起きると、ほかに通信手段がなくなってしまいます。こんな時に、au以外にデュアルSIMでドコモやソフトバンクで契約があれば、SIMを切り替えることで通常通り通信ができるようになります。
特に、2022年7月2日にはKDDIで大規模の通信障害が発生して、多くの人に影響が出ました。この時も、デュアルSIMで複数の通信会社を契約していた人は、難を逃れることができました。
また、通信障害時に限らず、通信会社によっては高所や地下で通信がつながりにくくなる場合があります。そんな時も、デュアルSIMなら、SIMを切り替えることで通信の改善を期待できます。
メリット③『組み合わせ次第で料金が節約できる』
組み合わせ次第では料金が節約できるのも、デュアルSIMのメリットのひとつです。
前提として、データSIM(電話番号なし)は、音声SIM(電話番号あり)よりも安いという特徴を持っています。
例えば、mineoの場合はデータ通信SIMと音声SIMには以下のような料金の違いがあります。
データ容量
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音声SIM
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データSIM
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1GB
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1,298円
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880円
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5GB
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1,518円
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1,265円
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10GB
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1,958円
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1,705円
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20GB
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2,178円
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1,925円
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そして、povo2.0などの一部の格安SIMでは月額料金0円で音声SIMを利用できます。
そのため、音声通話は月額料金が0円のpovo2.0などで行い、インターネットにつなぐ際のデータ通信は格安のデータSIMを使うように、デュアルSIMを運用すれば、音声SIMとデータSIMの差額分料金を節約できます。
例えば、現在mineoに契約しており月20GBのプランに契約している人が、povo2.0とのデュアルSIMで運用すれば、毎月の固定費は2,178円(mineo音声SIMで月20GBのプラン)から1,925円(mineoデータSIMで月20GBのプラン+povo2.0の0円のプラン)に変化します。
ただし、povo2.0は180日間以上有料トッピングがない場合は、利用停止や契約解除となる場合があるので注意しましょう。
デュアルSIMのデメリット
デュアルSIMは非常に便利ではありますが、いくつか注意点もあるので確認しておきましょう。
- eSIMは機種変更時に手続きが発生
- バッテリーの減りが早くなる
- 組み合わせ次第で料金が高くなる
それぞれ解説していきます。
デメリット①『eSIMは機種変更時に手続きが発生』
eSIMは機種変更時に手続きが発生します。
前述したように、現状のスマホでは基本的にはデュアルSIMは「SIMカード+eSIM」もしくは「eSIM+eSIM」となり、eSIMが絡んできます。
そのため、eSIMの手続き方法を理解していなければいけません。
SIMカードの機種変更は、基本的にはSIMカードの入れ替えをして、必要に応じてAPN設定や構成プロファイルのダウンロードなどをすることで完了します。
ですが、eSIMはSIMカードにはない独特な開通手続きがあるため、初めての人にとっては多少困惑する可能性があります。
eSIMの扱いに慣れていない方は注意しましょう。
デメリット②『バッテリーの減りが早くなる』
デュアルSIMにするとバッテリーが減りやすくなるので注意しましょう。
スマホのバッテリーは画面の点灯だけでなく、電波の受信によっても消費されます。
これは特に電波の悪い場所だと顕著で、電波を受信するために多くの電力を消費してしまいます。
デュアルSIMの場合は、電波の受信を二つのSIMで行うことになるので、その分バッテリーの消費も早いです。
そのため、デュアルSIM運用をするなら、バッテリー持ちが良く日中に充電切れすることのないスマホを選択する必要があるといえます。
デメリット③『組み合わせ次第で料金が高くなる』
デュアルSIMは2つのSIM契約をすることになるので、組み合わせ次第では料金が高くなります。
前述したような「0円の音声SIM+格安のデータSIM」といった組み合わせなら安く利用できますが「音声SIM+音声SIM」という組み合わせで、どちらもデータ通信量が大きいと2つのスマホを持っていることとほとんど変わりません。
節約をするためにデュアルSIMを活用したいなら、組み合わせはしっかりと工夫しましょう。
デュアルSIMの種類
デュアルSIMと一言で言っても、さまざまな種類があるので注意が必要です。
種類
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特徴
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主な用途
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DSSS(デュアル・シム・シングル・スタンバイ)
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1つのSIMだけが常に有効になる。アクティブなSIMは手動で切り替えをする。
通話中のデータ通信は不可。
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通信障害時の予備
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DSDS(デュアル・シム・デュアル・スタンバイ)
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2つのSIMが常に有効になるため、自動でSIMが切り替わり通信ができる。SIMの組み合わせは一方が高速、もう一方が低速となる。
通話中のデータ通信は不可。
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通信障害時の予備
料金の節約
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DSDV(デュアル・シム・デュアル・VoLTE)
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2つのSIMが常に有効になるため、自動でSIMが切り替わり通信ができる。SIMは両方とも高速通信できる。
通話中のデータ通信は不可。
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通信障害時の予備
料金の節約
仕事とプライベートの使い分け
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DSDA(デュアル・シム・デュアル・アクティブ)
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2つのSIMが常に有効になり、どちらもアクティブなのでSIMの切り替えをせずに常に通信が可能。
通話中のデータ通信も可能。
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通信障害時の保険
料金の節約
仕事とプライベートの使い分け
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DSSS以外は、2つのSIMが常に有効になります。このため「0円の音声SIM+格安のデータSIM」などを組み合わせることで料金を節約できます。
なお、近年のデュアルSIM対応端末は、ほとんどがDSDSかDSDVのどちらかとなっています。
また、端末によってSIMカード(物理SIM)の対応状況、eSIMの対応状況も大きく異なるので注意しましょう。
SIMカード(物理SIM)の対応状況
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eSIM対応状況
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可能なSIMパターン
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主な機種
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2つとも対応
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非対応
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SIMカード+SIMカード
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ZenFone 4シリーズ
Moto Zシリーズ
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1つだけ対応
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1つだけ対応
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SIMカード+eSIM
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iPhone XS以降のiPhoneシリーズ
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1つだけ対応
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2つとも対応
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SIMカード+eSIM
eSIM+eSIM
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iPhone 13以降のiPhoneシリーズ
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非対応
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2つとも対応
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eSIM+eSIM
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rakuten mini
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例えば、2つともeSIMでデュアルSIMを利用する場合は、iPhoneの場合は13以降の機種を選ぶ必要があります。
古い機種だと、eSIMに対応していない場合があったり、反対にeSIMにしか対応していない機種があったりもするので注意しましょう。
なお、現状最新の機種は「SIMカード+eSIM」もしくは「eSIM+eSIM」でデュアルSIMを使うのが一般的です。
「SIMカード+SIMカード」に対応した機種はほとんどありません。そのため「SIMカード+SIMカード」での運用は難しいです。
デュアルSIMに対応するiPhone端末
2023年2月時点で、デュアルSIMに対応しているiPhone端末は以下の通りです。
- iPhone XS
- iPhone XR
- iPhone 11シリーズ
- iPhone 12シリーズ
- iPhoneSE(第2世代)
- iPhone 13シリーズ
- iPhoneSE(第3世代)
- iPhone 14シリーズ
すべて「SIMカード+eSIM」でのデュアルSIM運用が可能で、iPhone 13シリーズ以降に関しては「eSIM+eSIM」でのデュアルSIM運用にも対応しています。
デュアルSIMの使い方
デュアルSIMは、2つのSIMを契約して、2つのSIMをスマホに登録することで使えるようになります。
手順を詳しく見ていきましょう。
1枚目のSIMを契約・登録する
新しいスマホを購入した場合は、まずは1枚目のSIMカード、もしくはeSIMを契約・登録しましょう。
今契約しているスマホとSIMに、新しくSIMを追加してデュアルSIMを運用するのであれば、この手順は不要です。
現状のデュアルSIM対応端末は基本的には「SIMカード+eSIM」か「eSIM+eSIM」の組み合わせとなります。
なお、最初に登録したほうがメインになるのではなく、後からメインのSIMは設定ができるので、登録する順番に決まりはありません。
SIMカードを登録する場合は、端末に挿入し、eSIMを登録する場合は通信事業者が指定している方法で開通手続きを進めましょう。
2枚目のSIMを契約・登録する
続いて2枚目のSIMを契約・登録しましょう。
前述したように、デュアルSIM対応端末は基本的には「SIMカード+eSIM」か「eSIM+eSIM」となるので、1枚目に使ったSIMの種類によって、2枚目に使えるSIMの種類が異なります。
iPhoneは「eSIM+eSIM」に対応している端末が限られており、モデルによって変化するので注意しましょう。
※2023年2月時点
SIMカードを契約・登録する場合は、iPhoneにSIMカードを挿入してください。
eSIMを契約・登録する場合は通信事業者によって手順が異なります。とはいえ、デュアルSIMでも初期設定(開通手続き)は通常のeSIMと変わらないので、通信事業者が記載している方法で進めましょう。
SIMごとにラベルを設定する
引用:https://support.apple.com/ja-jp/HT209044
2つのSIMの登録が完了したら、SIMごとにラベルを設定しましょう。
ラベルとは簡単に言えば、どちらの契約がどのような用途で使っているのかを明確にするためのものです。
例えば、仕事用とプライベート用で分けているなら「仕事」「個人」でラベルを設定しましょう。
1台のスマホに2つの電話番号があると、登録していない電話番号から入電があった際は、仕事の電話なのか、プライベートの電話なのか分かりません。ですが、ラベルを設定しておけば仕事用の電話番号に着信が入った際は、着信のディスプレイに「仕事」、プライベートの電話なら「個人」と表示されるので、より正確な電話応対が可能となります。
デフォルトの電話番号を設定する
引用:https://support.apple.com/ja-jp/HT209044
続いてデフォルトの音声回線を設定しましょう。
まだ連絡先に登録していない人に電話をかける場合や、メッセージを送信する際の回線をどちらにするか選ぶことができます。
もちろん架電をするたびに、どちらの回線を利用するか選択することも可能です。
デュアルSIMにオススメの通信プラン
デュアルSIMにオススメの通信プランは以下の3つです。
デュアルSIMをせっかく利用するなら、通信障害に備えて、2つのプランは別の通信会社を選択することをおすすめします。
例えば、povo2.0はau回線なので、もう一つのSIMでIIJmioを契約する場合はドコモ回線を選択したほうが良いです。
それぞれの通信プランの特徴を理解して、自分に合った組み合わせを見つけましょう。
楽天モバイル
楽天モバイルでは「Rakuten UN-LIMIT VII」という、使用したデータ量に応じて段階別に料金が変化するプランを提供しています。
3GBまでは月額1,078円、20GBまでは月額2,178円、20GB以降は無制限で3,278円となります。
段階別に使った分だけの支払いとなるのが魅力の一つですが、一番のメリットは無制限で3,278円という安さです。
ただし、ドコモやauやソフトバンクに比べると通信エリアの狭さが欠点となっています。
そのため、デュアルSIMでドコモ・au・ソフトバンク回線の低データ量の格安SIMを契約することで、楽天モバイルが繋がらなかったときに備えられます。
povo2.0
povo2.0は月額料金0円で音声SIMが利用できるのが大きな特徴です。
そのため、さまざまなデータSIMと組み合わせることで、よりスマホ料金をお得にできます。
180日間povo2.0で課金がない場合は、利用停止や契約解除となる可能性があるのがネックです。
とはいえ、課金は通話オプションでも問題ないので、たくさんの通話をする人にとっては「通話専用SIM」として特に活躍するでしょう。
IIJmio
デュアルSIMでシンプルな格安SIMを探している場合は、IIJmioがおすすめです。
音声SIM、データSIM、SMSSIM、eSIM、データeSIMなど、数多くそろえているので、自分の用途に合った使い方ができます。
また、SIMの通信タイプもドコモとauから選べるので、もう片方のSIMの通信会社と被らないように選択できます。
料金に関しても格安SIMの中でも特に優れているので、片方のSIM選びに迷ったら利用を検討してみましょう。
まとめ
iPhoneでもデュアルSIMは利用できますが、iPhone XS以降しか対応していません。
また、対応のSIMに関してはモデルによって異なるので、しっかりとチェックしておきましょう。
「1台のスマホで仕事用とプライベート用で使い分けたい」「通信障害に備えたい」と考えている方は、ぜひともデュアルSIMの利用を検討してみてください。