
賃貸住宅に住む場合、賃貸借契約上で火災保険への加入が契約条件とされていることがほとんどです。加入が必須の保険なら、少しでも安く加入したいと考える方も多いのではないでしょうか?この記事では賃貸火災保険の仕組みや保険料を抑える方法について紹介しています。
賃貸火災保険の相場や保険料を抑える方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
賃貸火災保険について

賃貸のアパートやマンションに入居する際、オーナーや不動産会社に賃貸火災保険の加入を求められますが、そもそもこの賃貸火災保険にはどのような役割があるのでしょうか。その仕組みについて解説します。
賃貸住宅における火災保険
火災保険は火災や自然災害などで建物や家財が損害を受けたときに保険金が支払われる保険です。一般的に保険の対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物・家財の両方」から選んで加入します。
賃貸住宅における火災保険とは、「家財のみ」を保険の対象とした火災保険に、借家人(しゃっかにん)賠償責任保険をセットした保険のことを指します。特約により、個人賠償責任保険を付加できる場合もあります。
賃貸火災保険に加入することで、賃貸住宅に住んでいる期間中の火事や自然災害による自身の家財の損害や、オーナーに対して法律上の損害賠償責任を負った場合の原状回復費用をカバーすることができます。
賃貸火災保険は必要?
賃貸のアパートやマンションは自身の所有物ではないため、建物を保険の対象とする火災保険はオーナーが加入するのが一般的です。
しかし火災や自然災害などで入居者の家財が損害を受けた場合、オーナーの火災保険では補償されません。また入居している部屋に損害を与えた場合は、修理代をオーナーに弁償する必要があります。
これらを補償するのが、賃借人自身が加入する賃貸火災保険です。そのため、賃貸住宅に住む場合、賃貸借契約上で火災保険への加入が契約条件とされていることがほとんどです。
賃貸火災保険の保険期間と支払方法の選び方

賃貸火災保険は2年契約で、2年分の保険料を一括で支払うのが一般的ですが、保険期間や支払方法をある程度柔軟に選択することもできます。またネットで加入が完結する保険は多くの場合、1年契約となっています。
以下、賃貸火災保険の保険期間や支払方法について紹介します。
保険期間の選び方
2022年10月以降、賃貸火災保険の保険期間は最長5年まで選択することができます。
とはいえ、実際には賃貸借契約の更新周期(一般的に2年)に合わせて、2年契約・一括払の保険を不動産会社から紹介されるケースが多いようです。
一方で、近年はインターネットで申し込みが完結するタイプの保険も増えており、不動産会社の紹介ではなく、自分で保険を選んで加入する人も増加しています。
家計への一時的な負担を軽くしたい場合には、1年契約などで比較的保険料が割安なインターネットで加入が完結できる保険を検討するのもよいでしょう。
支払方法は月払・年払・一括払
賃貸火災保険の支払方法は、月払・年払・一括払があります。
- 月払・・・毎月支払う方法
- 年払・・・1年毎に保険料を支払う方法
- 一括払・・・契約時に保険期間中の保険料を一括で支払う方法
保険料の総額は、同じ保険の場合、月払より年払、年払より一括払のほうが安くなります。
賃貸住宅の場合、賃貸火災保険の保険期間や支払方法は、入居期間や家計への負担を考慮して決めましょう。

賃貸火災保険(2年間)の相場はいくら?

賃貸火災保険(2年間)の相場はどれくらいなのでしょうか?一例を見てみましょう。
賃貸火災保険2年間の相場
賃貸火災保険の保険料は、建物の構造や地域によって異なる場合がありますが、ここでは、それらに左右されず保険料が一律の、インターネットで申し込める少額短期保険の2年間の保険料を紹介します。
保険期間や払込方法、家財補償や賠償責任の補償額などによって、保険料は異なります。入居期間やライフスタイルによって重視するポイントも変わるため、ご自身に合ったプランを選びましょう。
保険会社・商品名
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保険期間・払込方法
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2年間の保険料
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家財補償
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借家人賠償責任
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借家修理費用
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個人賠償責任
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その他の補償
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チューリッヒ少額短期保険・ミニケア賃貸保険
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1年間・一括払
(年間3,610円)
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7,220円
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100万円
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1,000万円
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100万円
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1,000万円
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生活再建費用:10万円
被害事故法律相談費用:30万円
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Mysurance・スマート賃貸火災保険
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1年間・月払
(月額570円)
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13,680円
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100万円
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1,000万円
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50万円
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1億円
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ー
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東京海上ミレア少額短期保険・お部屋の保険 ワイドⅡ
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2年間・一括払
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17,000円
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250万円
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2,000万円
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100万円
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2,000万円
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臨時宿泊費用:20万円 被災転居費用:20万円
死亡時修理費用:50万円
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賃貸火災保険を構成する3つの補償

賃貸火災保険は、家財を保険の対象とした火災保険(家財保険)に、借家人賠償責任保険をセットした火災保険です。また個人賠償責任保険を特約として付加する場合もあります。
各保険の役割について見ていきましょう。
家財保険
賃貸住宅の建物自体は、オーナーの所有物なので入居者は「建物」を保険の対象とする火災保険に加入する必要はありません。
ただし賃貸住宅では、以下のような原因で自身の家財が損害を受ける可能性があるため、「家財」を保険の対象とした火災保険には加入が必要です。
【家財保険の補償内容】
補償内容
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具体例
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火災
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コンセントから発火して、テレビや家具が焼けてしまった
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落雷
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アンテナに雷が落ち、過電流により家電製品が壊れてしまった
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破裂・爆発
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ガスコンロが爆発し、家具や家電製品が破損した
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風災・雹(ひょう)災・雪災
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台風でガラスが割れて、家電製品が雨で濡れたことで壊れてしまった
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外部からの飛来・衝突
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ボールが飛んできてガラスが割れ、中の家具が破損した
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水濡れ
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給排水設備からの水漏れで、家電製品が使用不能になった
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借家人賠償責任保険
油が発火して壁を焦がしてしまった、模様替え中に家具を倒して壁や床に穴を開けてしまったなど、借りている部屋に損害を与えてしまうケースがあります。
借りている部屋そのものはオーナーの所有物なので、損害を与えた場合、入居者はオーナーに対して法律上の損害賠償責任を負うことになります。
このように入居者がオーナーに法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償するのが、借家人賠償責任保険の役割です。
個人賠償責任保険
賃貸物件に住んでいると、洗濯機のホースが外れて水があふれ、下の階の入居者の家財や家具を破損させてしまったなど、他の入居者に損害を与える場合があります。
借家人賠償責任はあくまでもオーナーに対して賠償責任を負ったときの補償なので、他の入居者に損害を与えたときは補償の対象外です。
借用している戸室以外で、第三者に対して損害賠償を負担した場合の費用を補償するのが、個人賠償責任保険の役割です。

賃貸火災保険の保険料を抑えるには

賃貸住宅に住む場合、賃貸火災保険の加入は必須です。ここでは賃貸火災保険の保険料を抑えるためのポイントを3つ紹介します。
ポイント1 複数の保険会社を比較してみる
賃貸火災保険は同じ補償内容・賃貸物件であっても保険会社によって保険料が異なります。
同じ条件で複数の保険会社から見積もりを取り、保険料を比較することで、より割安で加入できる賃貸火災保険が見つかる可能性があります。
また多くの場合、賃貸火災保険は不動産会社から紹介されますが、必ずしも不動産会社から紹介されたものに加入する必要はありません。
不動産会社から賃貸火災保険の紹介があった場合でも、保険料を抑えたい方は他の保険会社の商品と比較してみることをおすすめします。
さらに保険料を抑えたいのであれば、ネット完結で加入できる賃貸火災保険もおすすめです。ネット完結で加入できる賃貸火災保険は、営業や事務手続きといったコストがかからない分、保険料が割安な傾向があります。
ポイント2 必要な補償内容を吟味する
保険会社によっては、家財保険の補償範囲を狭くすることで、保険料を安くできる場合があります。
例えば家財保険の補償範囲から水災を外すことで、保険料を抑えられます。ただし水災で家財が損害を受けたときは支払対象外となるため、補償範囲を見直すときは注意が必要です。
また、すでに加入している自動車保険や傷害保険に個人賠償責任保険が付いていれば、賃貸火災保険に個人賠償責任保険を付ける必要はありません。
個人賠償責任保険に重複して加入したからといって、保険金を重複して受け取れるわけではありません。補償の重複は保険料の無駄になるため、新規加入や見直しの際は、すでに加入している保険と補償の重複部分が生じないかどうかも確認しましょう。
ポイント3 自分に合った保険期間、支払方法を選択する
賃貸住宅に住む期間や、初期費用にかけられる予算は人それぞれです。保険料は保険期間や支払方法によって異なるため、ご自身の状況に合ったものを選びましょう。
例えば2年間賃貸住宅に住む予定であれば、一般的に年払で2回支払うより、一括払のほうが保険料が安くなります。
退去予定が決まっていない場合や、初期費用を抑えたい場合は月払を選ぶのもひとつの方法です。一時払や年払でまとめて支払っても、解約すれば残りの保険期間に応じた保険料が払い戻されますが、一旦まとまった保険料を負担しなければなりません。
まとめ
賃貸火災保険は、火災や自然災害などで自身の家財が損害を受けたときや、オーナーに対して損害賠償を負担したときの費用を補償する保険です。そのため賃貸住宅に住むときは、賃貸火災保険に必ず加入しなければなりません。
同じ補償内容でも保険会社によって保険料が異なったり、保険期間や支払方法によっても変わってくるため、複数の保険会社を比較したり、自分のライフスタイルに合った保険期間・支払方法を選択することが重要です。
上手に保険料を抑えながら、自分にとって最適なバランスの保険を選ぶために、賃貸火災保険の仕組みを理解しておきましょう。

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